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3月のライオン 3
3月のライオン 3 海野チカ独特の、ちょっと暗い人生の悲しい側面のお話と、ほのぼの系ガーリーギャグの応酬の合間に、自己啓発とも呼べるくらい、生きていく、成長していく上での気付きや信念が語られる。 基本的にひとりぼっちな高校生プロ棋士である桐山は、時折襲ってくる孤独にさいなまれたり、勝負の世界を甘く見て、痛い目を見たりする。しかしながら、孤独の方は、実は悲しい思いでを背負ったままである近所に住む3姉妹達に「必要とされる」ことで癒されていく。そして勝負の場では、相手の力を見誤り、対戦の相手への尊敬の念を持てなかったことに大きな恥を感じつつも、先を歩む強者達の、強い思いのぶつかり合いに心動かされ、勝ち負けだけではない、人間的な強さを求めて動き始める。 ヤングアニマルという、ちょいマイナー誌に連載している少女マンガちっくなやさしい絵柄の異色の作品と、侮るべきではない。大ヒットした前作「ハチミツとクローバー」でもそうであったが、青春期の迷いや葛藤をえぐるようにしっかりと描き、人生の厳しさと、それでも決してそれだけではないというやさしさを見せつけてくれる、とても勇気づけてくれる作品だと僕は思っている。そう考えると、ハチクロで描かれる、甘酸っぱいかと思いきや、妙にリアルで恥ずかしさの部分に大いに共感できる恋愛模様でさえ、ただ甘いだけではない、人生における難問というか障害物というかそういった生きていく上で「向き合わなくてはいけないもの」「闘っていくもの」のように思える。 甘く見ていると、簡単に打ちのめされてされてしまう、そんなマンガだ。結局は人生全部を扱おうとする、食事に例えるなら主食たり得る漫画だ。この作品に比べたら、ただただ戦い続ける、バトル漫画やスポーツ漫画などは甘っちょろい、おやつみたいたいなものだ。きっと、漫画はもともとおやつでいいのかもしれないのだけれど。